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園長より皆さんへ＜クリスマス・メッセージ＞

「インマヌエル」

クリスマスおめでとうございます。

今年もクリスマスを迎えましたが、クリスマスをお祝いしたいという気持ちがある一方で、３月の大地震、大津波で命を奪われた方々、被災された方々のこと、そして原発事故のため避難生活を余儀なくされ、生活基盤を脅かされている方々のことを思うと、手放しにお祝いできない気持ちにさせられます。

　キリスト教会の礼拝の多くは、午前中に行われることが殆どですが、クリスマスだけは夜、盛大にお祝いされます。それはイエス様が夜お生まれになったと考えられているからですが、しかしこのことは象徴的な意味をもっているように思います。イエス様はまさに「暗闇」の中にお生まれになった～それも闇の中の「光」としてお生まれになったと受けとめているからです。このことはヨハネ福音書にも記されている通りです。

　でもイエス様が暗闇の光だとはどういうことなのでしょう？それはイエス様が「インマヌエル」としてお生まれになったということだと思います。インマヌエルはマタイ福音書に説明されている通り、「神はわたしたちと共におられる」ということです。イエス様がお生まれになったのは、単に一人の人として生まれたと言うに留まらず、一人ひとりに伴われる方として来てくださったと言うことです。

　ある老人ホームでのことです。一人の老婆が苦しそうなうめき声を上げています。わたしはボランティアとして、そのホームに関わっていたのですが、その老婆のいる部屋の片付けを頼まれました。作業を始める前にベッドに近寄り、声を掛けてみましたが、目が見えないのか一点を見つめたまま、そして耳も聞こえていないのか、声掛けに反応がありません。しかたなく作業にはいりましたが、そのうめき声はやまず、苦しそうにしています。わたしはどうして良いか分からず、再びベッドのそばに行くと思わず手を握りました。そしてしばらく手をさすっていると、徐々に徐々にあの声が静まってきたのです。そして更に続けていると、やがて静かな呼吸になり、眠ったように思われました。

　この経験を他のボランティアと分かち合った時に、その老婆は手を握られるまでは、まったくひとりぼっちと思っていたのだろう、でも手を握られて誰かがそばにいることが分かったことで、彼女の中に何らかの力が湧き起こったのではないか、という話になりました。こうした例はわたしたちの周辺でたくさん見ることができます。

　このことが示しているように、人は誰かがそばにいる、ということがわかると、その人自身のうちにある種の力が湧き起こるのだと思います。そして直面している困難を乗り越えるエネルギーとなるのだと思います。インマヌエルということがそういうことであるのなら、生きることの困難に直面している方々の力となるインマヌエルの誕生＝クリスマスを、こう言う時だからこそ祝いたいと思うのです。　　　　（角瀬園長）

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